原油高とインフレへの警戒が強まるなか、日経平均はなぜ一時2,000円を超える下落となったのでしょうか。前夜の米国市場では主要3指数がそろって下落し、米10年債利回りは4.94%台まで上昇しました。そこへWTI原油先物の100ドル突破も重なり、インフレと金融政策を巡る警戒が日米の株式市場へ広がる一日となりました。
日本市場ではその流れがAI・半導体関連株への売りにつながり、日経平均は前場に大きく下落しました。一方で、鉱業や海運などには資金が向かい、後場には買い戻しも入っています。国内企業物価の上昇から日銀の追加利上げも意識されるなか、米CPI、FRB、日銀と、日米双方の金融政策を見ながら相場を考える必要がありそうです。
この記事では、米国市場から日本市場へつながった一日の流れとともに、楽天証券で行ったモルフォとパワーエックスのデイトレード、SBI証券で運用している高配当投資での5銘柄の買い増し、その日の判断や反省点まで振り返っています。なお、本文に記載しているトレード銘柄の「銘柄名」には、それぞれの過去の取引記録を確認できる記事へのリンクを設定しています。その日の結果だけではなく、これまでの売買も振り返りながら、一緒に相場への理解を深め、これからの投資判断を少しずつアップデートしていければと思います。
2026年9月11日の市況|原油高と金利上昇を背景に日米株が下落
主要指数(9月11日時点)
日経平均:64,011.34(-1,259.61)
TOPIX:4,028.30(-26.28)
NYダウ:52,064.10(-316.56)
NASDAQ:26,081.73(-171.61)
S&P500:7,591.70(-44.66)
米国市場(9月10日)
10日の米国市場は、主要3指数がそろって下落しました。NYダウは前日比316.56ドル安の52,064.10ドル、NASDAQ総合指数は171.62ポイント安の26,081.73ポイント、S&P500は44.66ポイント安の7,591.75ポイントで取引を終了。S&P500は4営業日続落となり、8月につけた最高値から約3%下の水準まで調整しています。
この日の市場で重く意識されたのは、再び強まりつつあるインフレへの警戒でした。8月の米生産者物価指数(PPI)は前月比0.4%上昇と市場予想に一致したものの、前年同月比では5.4%上昇し、7月の4.8%から伸びが加速しています。そこへ中東情勢の緊迫化による原油高も重なり、WTI原油先物は前日比1.76高の1バレル104.24ドルで取引を終えました。原油高が長引けば、エネルギーや輸送コストを通じて物価への影響が広がる可能性があります。PPIだけでなく原油価格からもインフレ圧力が意識されるようになったことで、市場の関心は自然とFRBの金融政策へ向かったのでしょう。
その警戒は金利にも表れ、米10年債利回りは4.94%台まで上昇し、2023年以来の高水準となりました。市場では9月のFOMCで0.25%の利上げが行われる確率が約7割まで上昇しています。インフレへの警戒が利上げ観測を強め、それが長期金利を押し上げるという流れのなか、金利上昇の影響を受けやすいハイテク・グロース株には売りが目立ちました。個別ではNVIDIAが2.3%安、Micron Technologyが4.7%安となった一方、新製品への期待が向かったAppleは3.6%高と逆行高になりました。
こうした株価下落と金利上昇を受け、市場の警戒感もやや強まっています。VIX恐怖指数は前日から1.38上昇して17.84となりました。ただ、警戒水準の一つとして意識される20には届いていません。主要指数は下落しているものの、市場全体が一気にリスク回避へ傾いたというより、インフレとFRBの金融政策を慎重に見極めようとする空気が強まっている状況ではないでしょうか。一方、為替市場では米金利の上昇とともにドルが買い戻され、ドル円は154円台までドル高・円安方向へ動きました。
PPI、原油、金利と材料がつながるなか、次に市場が注目するのは9月11日に発表される8月の米消費者物価指数(CPI)です。CPIでも物価上昇圧力の強さが確認されれば、9月の利上げを意識する動きがさらに強まり、金利や株価にも影響が広がる可能性があります。反対にインフレの鈍化が確認されれば、ここ数日で高まった利上げ観測がいったん後退することも考えられるでしょう。FOMCを前に、PPIや原油高から強まったインフレへの警戒が続くのかを確認する、重要な指標になりそうです。
米国市場全体のまとめ
1.NYダウ、NASDAQ、S&P500がそろって下落し、S&P500は4営業日続落となった一日だった。
2.米PPIの前年比での伸びが加速し、インフレへの警戒が改めて強まった相場だった。
3.WTI原油先物が1バレル104.24ドルまで上昇し、物価への波及が意識された一日だった。
4.米10年債利回りが4.94%台まで上昇し、9月FOMCでの利上げ観測が強まった相場だった。
5.次に発表される米CPIが、インフレとFRBの金融政策を見極める重要な材料となる状況だった。
日本市場(9月11日)
11日の日本市場は大幅反落となりました。日経平均は前日比1,259.61円安の64,011.34円で取引を終了。前日の米国市場では、原油高によるインフレへの警戒から米長期金利が上昇し、主要株価指数がそろって下落しました。その流れが日本市場にも波及し、朝から売りが先行する展開となりました。
なかでも影響を受けたのが、金利上昇に弱いAI・半導体関連株です。前日の米国市場ではWTI原油先物が1バレル100ドルを突破し、米10年債利回りも5%に迫る水準まで上昇。さらにアジア時間には一時4.979%まで上昇したことで、アドバンテストやソフトバンクグループ、東京エレクトロン、キオクシアホールディングスなど、これまで日経平均を押し上げてきた値がさ株に売りが広がりました。その結果、日経平均は寄り付き直後から急落し、一時は2,000円を超える下げに。前引けでは1,801.56円安の63,469.39円まで下落しました。
ただ、指数の大幅安だけを見ると全面的に売られたようにも見えますが、実際には業種によってかなり強弱が分かれています。原油高が追い風となった鉱業株には買いが入り、海運、保険、輸送用機器なども比較的しっかりした動きとなりました。個別でもトヨタ自動車やIHI、商船三井、JTなどが上昇する場面があり、AI・半導体関連から資金が抜ける一方で、別の業種へ向かう動きもみられました。こうした買いに加えて、後場には売られ過ぎた銘柄への買い戻しも入り、日経平均は朝方の安値から下げ幅を縮小して取引を終えています。
海外の金利上昇だけでなく、国内でも金利を意識させる材料が出ています。8月の国内企業物価は前年同月比7.6%上昇し、市場予想の7.4%を上回りました。前月比では0.2%低下したものの、前年比では前月の7.2%から伸びが加速しており、企業段階での物価上昇圧力が依然として強いことが示されています。来週に日銀金融政策決定会合を控えるなか、この結果によって追加利上げへの意識も高まったと考えられます。
その動きは債券市場にも表れ、日本の10年国債利回りは一時2.97%まで上昇しました。米国ではインフレとFRBの利上げ、日本では企業物価と日銀の追加利上げが意識され、日米双方で金利上昇への警戒が強まっています。株式市場にとっては海外だけを見ていればいい状況ではなく、国内の金融政策も同時に気にしなければならない局面になってきたのではないでしょうか。
日米双方の金融政策が意識されていることは、為替の方向感にもつながっています。ドル円は154円台前半で推移しましたが、米国では原油高やPPIからFRBの利上げ観測が強まる一方、日本でも企業物価の上昇によって日銀の追加利上げが意識されています。そのため、単純な日米金利差だけでは方向を判断しにくくなっており、ここからはFRBと日銀の動きをあわせて見ていく必要がありそうです。
さらに、この日は9月限株価指数先物・オプションのメジャーSQ算出日でもあり、SQ値は63,039.46円とみられています。日経平均は朝方にこの水準へ接近するほど急落しましたが、その後は下げ幅を縮小し、終値では64,000円台を回復しました。AI・半導体関連への売りや金利上昇への警戒が続くなかでも、前場の急落から一定の買い戻しが入ったことは、この日の値動きを振り返るうえでも気になるところでしょう。
ここから日本市場を見るうえでは、まず米国の8月消費者物価指数(CPI)が重要になります。CPIが市場予想を上回ればFRBの追加利上げ観測がさらに強まり、米長期金利が5%を超える可能性も意識されるでしょう。そうなれば、日本市場でもAI・半導体など高PER銘柄には引き続き売り圧力がかかる可能性があります。
そして、その先には来週の日銀金融政策決定会合も控えています。原油高による輸入物価への影響に国内の企業物価上昇まで重なるなか、日銀は実際に追加利上げへ踏み切るのでしょうか。その後の利上げペースについてどのようなメッセージを示すのかも含め、米CPIからFRB、そして日銀へと続く金融政策の流れが、日本株の方向を考えるうえで重要になりそうです。
日本市場全体のまとめ
1.日経平均は一時2,000円を超えて下落し、後場に下げ幅を縮めながらも大幅反落となった一日だった。
2.原油高と米長期金利の上昇を警戒し、AI・半導体関連株への売りが目立った相場だった。
3.国内企業物価が前年同月比7.6%上昇し、日銀の追加利上げが改めて意識された一日だった。
4.日経平均が大きく下落する一方、鉱業や海運などには資金が向かい、業種による強弱が分かれた相場だった。
5.米CPIと来週の日銀金融政策決定会合を控え、日米双方の金融政策が次の焦点となる状況だった。
トレード銘柄|モルフォとパワーエックスで利益確定、単元未満株は5銘柄を買い増し
楽天証券|デイトレードと積み立て投資
特定口座
- 3653 モルフォ
株 価: 1,508.0円 → 1,537.0円
約定時間: 09:16:11 → 09:28:42
収 支: +2,900円
狙 い: 売買代金ランキングを確認し、そのなかから値動きを見ながらトレード対象として選定。 - 485A パワーエックス
株 価: 2,213.0円 → 2,223.0円
約定時間: 11:01:33 → 11:04:49
収 支: +1,000円
狙 い: 売買代金ランキングを確認し、そのなかから値動きを見ながらトレード対象として選定。

SBI証券|スイングトレード
買い増し銘柄
- 2802 味の素
株 価: 4,965.0円
数 量: +1株
合 計: 5株 - 3231 野村不動産ホールディングス
株 価: 907.5円
数 量: +10株
合 計: 70株 - 7013 IHI
株 価: 2,662.0円
数 量: +1株
合 計: 34株 - 7327 第四北越フィナンシャルグループ
株 価: 2,633.0円
数 量: +1株
合 計: 41株 - 8904 AVANTIA
株 価: 816.0円
数 量: +10株
合 計: 190株
売却銘柄
- なし
8月末時点でのポートフォリオはこちらを参照してください。
反省点・総括|急落相場でも上昇銘柄を狙い、根拠を優先したデイトレード
本日の日本市場は大きな下落に飲み込まれる一日となりましたが、デイトレードでは主要銘柄の下落に引っ張られるのではなく、そのなかでも上昇している銘柄を探し、モルフォとパワーエックスをトレードしました。まずモルフォは本日決算発表を控えていたため、決算を跨がないことを前提に早めの利確を意識しています。エントリーポイントについても慎重に値動きを見ながら選んだつもりでしたが、約定後には一度下値を試す場面がありました。それでも大きく崩れることはなく、需給を見ながら買い圧力があると判断できたため、あらかじめ考えていたイグジットポイントよりも売却位置を上へ変更し、利益を伸ばすことができています。利確後にはさらに上昇したものの、その後すぐに下落へ転じたことを考えると、売却の判断自体にはそれほど問題はなかったのではないでしょうか。ただ、エントリー後に下値を試したことを考えると、もう少し買値を下げられた可能性はあったようにも感じています。
続いてトレードしたパワーエックスでは、モルフォとは違い、急騰しているところを追いかけずに値動きが落ち着くのを待ってからエントリーしました。利益はできるだけ伸ばしたいところでしたが、板の動きを見て売却を判断しています。その後さらに株価が上昇したため、結果だけを見ればもう少し利益を取れたことになりますが、そこを追いかけても仕方ありません。モルフォでも利確後に上昇する場面があったように、売った後の値動きよりも、そのとき何を根拠に入り、どのような判断で売ったのかを大切にしたいと考えています。今回の2銘柄については、利益をどこまで伸ばせたかだけを見るのではなく、エントリーとイグジットの根拠を振り返りながら、今後のトレードにもつなげていきたいところです。
一方、スイングトレードではポートフォリオも大きく下落していたため、単元未満株で5銘柄を買い増しました。そのなかで少し迷ったのが不動産業です。日銀の利上げに加えて東証REIT指数も下落していることを考えると、このタイミングで不動産株を買うのは愚策と思われるかもしれません。それでも保有銘柄が取得単価に近い水準まで下落しており、今回買い増しても取得単価にはほとんど変化がないことから、購入する判断としました。
2026年9月第2週の実現損益
2026年の9月の収支報告楽天証券
デイトレの合計収支(9月7日~9月11日):+12,750円
9月の合計収支:+24,550円
SBI証券
スイングの合計収支(9月7日~9月11日):+6,670円
9月の合計収支:+6,859円
配当・分配金(楽天+SBI):0円
トータル収支:+31,409円
▶ 9月第1週
▶ 8月の収支報告 | 7月の収支報告 | 6月の収支報告 | 5月の収支報告 | 4月の収支報告 | 3月の収支報告 | 2月の収支報告 | 1月の収支報告 | 2025年の収支報告
【トレード物語#37】黄昏の綻びに沈みゆく境界。狂乱を前に引いた一線、焦燥を鎮めた手応えと未来へ繋ぐ小さな結実
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