夏枯れ相場の影響と8月5日の歴史的大暴落
夏枯れ相場は、機関投資家が夏休みに入ることで株式市場の取引量が大幅に減少し、相場が上昇しにくくなる現象です。これにより、通常なら耐えられるような悪材料でも株価が大きく下落することがあります。特に、この時期はニュースや経済指標の発表に対して市場が敏感に反応しやすくなり、株価が乱高下しやすい状況が続きます。しかし、このような現象は通常一時的であり、市場全体の健全性や長期的な成長見通しに大きな影響を与えることは少ないとされています。とはいえ、投資家にとっては精神的に厳しい期間であり、特にデイトレードを行う際にはリスク管理が一層重要になります。
8月5日には、まさにその夏枯れ相場の影響も相まって、過去最大の下げ幅を記録する大幅な下落が発生しました。この日の終値は31,458円(-4,451円)で、1987年のブラックマンデーをも超える歴史的な値下がりとなりました。このような大幅な下落は、投資家にとって大きな衝撃であり、短期的には多くの人が損失を被ることになりました。しかし、この下落が本質的に何を意味するのかを冷静に分析し、今後の戦略を考えることが求められます。
歴史的大暴落の原因と円高・半導体銘柄への影響
今回の歴史的大暴落には、いくつかの要因が絡み合っています。まず注目すべきは、7月31日に行われた日銀の政策決定会合です。この会合で利上げが発表され、これが市場に大きな影響を与えました。利上げにより円高が進み、日本の輸出関連企業や半導体銘柄に対する売り圧力が強まりました。また、米国では連邦公開市場委員会(FOMC)が9月の利下げの可能性を示唆したことも、投資家の心理に影響を与えました。これにより、円が急速に高騰し、ドル円は一時142.0円まで上昇しました。
円高が進むと、円安がメリットとされる輸出関連企業、現在必要とされている半導体関連銘柄への売りが一斉に発生しました。半導体は世界的な需要が高まっている一方で、円高により収益が圧迫される可能性が高まり、投資家がリスクを回避するためにこれらの銘柄を売りに出したことが、さらなる下落を引き起こしました。このように、国内外の政策や為替市場の変動が、今回の大幅な下落を引き起こした主要な原因と考えられます。
暴落後の相場回復と今後の投資戦略
暴落時には、多くの投資家が市場から撤退する一方で、逆にこれを買いの好機と捉える投資家も存在します。暴落後に相場が回復すれば、短期間で大きな利益を得る可能性があるためです。しかし、今回の下落が本当に底打ちだったのか、それともまだ下落が続くのかは、現時点では誰にも分かりません。この不透明な状況下で最も重要なのは、適切なリスク管理とキャッシュポジションの維持です。暴落が続く場合に備えて、投資余力を確保しつつ、買い時が来たと判断した場合には積極的にエントリーすることが求められます。
8月5日の米国市場は、終値が38,703.27(-1,033.99)となり、こちらも大幅に下落しました。これは、翌日の日本市場にも影響を与える可能性が高く、実際に8月6日の前場では一時2,600円も上昇する場面が見られました。ドル円も再び146円台に戻り、円安が進行したことで、株式相場も上昇しました。しかし、このような急激な変動は、一時的なものである可能性もあり、今後も引き続き慎重な対応が必要です。
新NISAによる投資家人口の増加
2024年1月から開始された新NISAは、すでに多くの個人投資家に利用されており、これによって市場への新規参入者が増えています。この新制度は、投資の裾野を広げるとともに、長期的な資産形成を促進することを目的としています。そのため、2024年に入ってから特に個人投資家を中心に市場への参加が増加し、7月までの株価上昇にはこれらの新規投資家の買いが大きく寄与したと考えられます。
しかし、8月に入ってからの暴落は、これらの新規投資家にとっても大きな試練となりました。市場の混乱に直面し、どう対応すべきか戸惑うこともあるでしょう。しかし、分散投資と定期的な積立を続けることが、長期的に見て最も堅実な投資戦略であることに変わりはありません。市場の短期的な動きに惑わされず、長期的な視点を持つことが、新NISAを最大限に活用する鍵となります。
8月第2週の相場は非常にボラティリティが高く、トレードには厳しい状況が続きました。週末にかけてようやく市場は落ち着きを見せ始めたものの、依然として相場は不安定であり、トレーダーにとっては依然として難しい局面が続いています。とはいえ、長期的な投資家にとっては、こうしたボラティリティは逆に絶好の買いのチャンスでもあります。今後の市場動向を注視しながら、計画的に投資を続けることが重要です。
今月のS株
さて、今回の歴史的大暴落は、果たして絶好の買い場だったのでしょうか。それとも、さらなる下落が待ち受けているのでしょうか。結果として、暴落の翌日には日経平均が大幅に上昇し、その後も相場は乱高下を繰り返しつつ、徐々に安定を取り戻していきました。8月30日の日経平均の終値は38,647.75円となり、8月1日とほぼ同水準まで回復しました。さらなる下落を恐れ、なかなか買いを行うことができなかったものの、少しずつ買い増しを続け、取得単価を下げることができた銘柄もあります(※中には取得単価が上がった銘柄もあります)。結果として、利回りを上げることができており、今回の混乱をうまく乗り切ることができたと感じています。
以下は買い増し銘柄と売却した銘柄となります。
買い
- 5020 ENEOS
- 5406 神戸製鋼所
- 5938 LIXIL
- 7201 日産自動車(New)
- 8306 三菱UFJ
- 8593 三菱HCC
- 5105 TOYO TIRE(New)
- 7272 ヤマハ発動機
- 9434 ソフトバンク
- 4996 クミアイ化学工業(New)
- 1808 長谷工コーポレーション(New)
- 8053 住友商事
- 8904 AVANTIA
- 2914 日本たばこ産業
売却
- 4503 アステラス製薬
今回の暴落を受けて売却を決断した銘柄の一つが、アステラス製薬です。同社は、レキスキャンの後発品参入やIVERIC bio社の買収に伴う費用の増加、VEOZAHの進捗が想定を下回ったことによる減損損失の計上など、複数の要因で業績予想を複数回にわたって下方修正しました。これが株価下落の主要な要因となり、8月に入ってようやく上昇に転じる兆しが見えたものの、長期間含み損として保有していたことや、医薬品関連銘柄への投資の難しさを考慮し、最終的に売却を決断しました。この経験を通じて、医薬品セクターへの投資リスクを再認しました。
今月の買い増しにより、年間配当金は61,972円、利回りは3.73%となっています。