2025年9月19日の株式市場は、米FRBの利下げ発表や日銀のETF売却開始といった金融イベントが重なり、波乱含みの展開となりました。日経平均は一時800円超の急落を見せながらも、引けには45,000円台を維持し、投資家心理の強さが垣間見えます。本記事では、高配当投資の視点から、米国・日本の市場動向、為替やセクター別の影響をブログ形式でわかりやすくまとめました。これからのトレードや投資判断に役立つ情報を、初心者でも理解できるよう丁寧に解説していきます。
2025年9月19日の市況|日米金融政策の波紋で株価変動
主要指数(9月19日時点)
日経平均:45,045.81(-257.62)
TOPIX:3,147.68(-11.19)
NYダウ:46142.42(+124.10)
NASDAQ:22,470.73(+209.40)
S&P500:6,631.96(+3161)
米国市場(9月18日)
2025年9月19日、FRBは政策金利を0.25ポイント引き下げ、4.00~4.25%のレンジに設定する利下げを発表しました。これは今年に入って初めての利下げであり、背景には雇用市場の鈍化や失業率の上昇傾向があるとFRB自身が指摘しています。一方でインフレ率は依然として目標の2%を上回り、“粘り強い(sticky)”状態が続いているため、経済の弱体化リスクと物価抑制リスクのバランスを取ることが政策決定の核心となっています。FRBは今回の利下げをリスク管理の一環として位置づけており、市場では金融緩和サイクルの始まりとして受け止められています。年内にはさらに2回程度の利下げが予想されていますが、メンバー間では見通しに意見の相違がある状況です。
利下げ発表後の市場反応は一様ではありませんでした。株式市場では、大型株中心のダウが大きく上昇した一方、S&P500やナスダックはやや売られる展開となりました。特にグロースやテック株は利下げによる恩恵を織り込もうとしましたが、発表後には期待が過剰とみなされ一部で調整が入る場面も見られました。国債市場では中長期利回りが上昇し、通常は利下げで低下することが予想される利回りが逆に上昇したのは、インフレ継続リスクや政策の不確実性が意識されたことが背景です。この動きはドル相場にも影響し、金利差やインフレ抑制への懸念、債券利回りの上昇が重なり、ドルは主要通貨に対して強含みとなりました。
セクター別では、住宅建設や住宅ローン申請は借入コスト低下の期待から再調整が進む一方、住宅価格や注文の動きはやや軟調でした。消費者支出や企業の資本支出は底堅さを維持しており、景気が完全に失速しているという悲観的見方は抑えられています。
今後の見通しとしては、FRBのドットプロットや市場予想では年内にあと2回程度の利下げが示唆されていますが、パウエル議長も「将来の判断はデータ次第」と強調しており、インフレや雇用統計次第で計画が変更される可能性があります。株価の高水準バリュエーションや、エネルギー・原材料価格の変動なども潜在的なリスクとなります。利回り上昇やドル高は輸出企業やドル建て収益を持つ企業にとってマイナス要因となる一方、国内消費や借入コストに敏感な住宅や耐久財などのセクターは利下げの恩恵を受けやすい状況です。
利下げ・緩和期待で注目されるセクターまとめ
こうした動きは、株式市場のセクター別にも影響を与えます。注目されている代表的なセクターをわかりやすく整理してみました。
- 小型株: 利下げで借入コストが下がると、小さな会社ほど恩恵を受けやすいです。理由は簡単で、資金調達や利払いの負担が業績に直結しやすいためです。実際、ラッセル2000指数のような小型株中心の指数が買われる動きも見られます。「小さい会社ほど利下げの効果は大きい」というのは、まさにここでの教訓ですね。
- 金融セクター: 銀行や金融系は、利下げで貸出や融資活動が活発になる可能性があります。また、債券利回りの動き次第で利ざやの改善も期待できます。ただし注意点もあり、短期と長期の金利差(イールドカーブ)があまりにもフラット、あるいは逆転すると銀行の収益性が抑えられるリスクもあるので油断は禁物です。
- 不動産 / REIT / 住宅セクター: 住宅ローン金利が下がると、住宅購入や建設活動が活発化することが期待されます。また、REITにとっても、資金コストと利回りのバランスが改善する可能性があります。「金利が下がる=家も株も買いやすくなる」というわかりやすい構図ですね。
- テクノロジー / 成長株: 利下げが予想されると、将来のキャッシュフローの割引率が下がり、成長株の評価が上がりやすくなります。特にAIや半導体関連など期待値の高い分野は敏感に反応します。「未来の成長に賭けるなら今?」という感じです。
- 消費者裁量: 金利低下は消費者の借入やローン負担を軽くします。その結果、耐久消費財や旅行・娯楽関連の需要回復が期待されます。利下げは、日常生活にも嬉しい影響を与えるんですね。
- ディフェンシブ系: 利下げが長く続くとは限らないため、不確実性が高いときには安定収益を求めるマネーがこのセクターに集まりやすくなります。「守りの投資先」として人気です。
日本株・為替への波及
米国の利下げ観測が強まる中、日本市場や円/ドル(USD/JPY)にどのような影響が出るか整理してみましょう。
- ドル円為替の動き
- 米国が利下げを行うと、米ドルと日本円の金利差が縮小するため、円にとって追い風になります。実際に最近の相場では、米国利下げ観測が広がる中でドルの上値が抑えられ、円がやや戻す動きが見られています。
- 一方で、日本銀行の動向も重要です。現在、日本銀行の短期金利は0.5%に据え置かれており、緩やかな引き締めを望む声もあります。もし日本銀行が予想外にタカ派の発言をしたり、金融政策の正常化を進めたりすると、円高が進む可能性があります。
- 日本株への影響
- 円高が進むと、輸出依存度の高い企業にとってはマイナス材料になります。ドル建ての収益が円換算で目減りするため、半導体や自動車など輸出比率の高いメーカーは注意が必要です。
- 国内需要重視の企業やインフラ・公共事業関連は、借入金利や資金調達コストが低く抑えられる場合にメリットがあります。特に不動産や住宅関連など、金利に敏感な業界は注目ポイントです。
- 日本銀行がETFやREITの売却を進めると、株式市場への資金流入が減少するため、特定銘柄に影響が出る可能性があります。現在、日本銀行は年間約3,300億円のペースでETFを売却予定で、REITも少額ながら売却される見込みです。
- 全体のリスク要因・注意点
- 日本は輸出依存度が高いため、米国景気の後退や世界需要の減退があると輸出企業には逆風となる。
- 日本銀行の理事会の票の割れや、金融緩和から正常化への動きはマーケットにサプライズを与える可能性がある。
- 米国のインフレが予想より粘る場合、利下げのペースが遅れることがあり、それが為替やセクター期待に影響するリスクも存在する。
- 日本株の注目セクター
- 半導体・精密機械関連: 米国での技術投資や製造装置需要を追い風に受けやすく、ドル高・円高どちらの動きでも海外売上比率が高いため影響を相対的に受けにくいです。
例: 東京エレクトロン、アドバンテスト - 住宅・建設関連: 住友林業は米国事業の比率が高く、米国での金利緩和や住宅ローン金利の低下が日本市場にも波及すれば恩恵を受けやすいです。
例: 住友林業、積水ハウス、サンヨーホームズ、大和ハウス工業 - 輸出関連大型株: 輸出メリットの強い銘柄で、利下げ局面では資本コストや調達コストの改善期待があります。北米市場での販売規模が大きいトヨタなどは、円高局面でも一定の耐性を持つ可能性があります。
例: トヨタ自動車、村田製作所、TDK、キャノン
- 半導体・精密機械関連: 米国での技術投資や製造装置需要を追い風に受けやすく、ドル高・円高どちらの動きでも海外売上比率が高いため影響を相対的に受けにくいです。
日本市場(9月19日)
日本銀行はこの日、政策金利を0.50%に据え置く決定を下した。利上げは見送ったものの、内部では高田創・田村直樹の両委員が0.75%への利上げを提案していたことが明らかになっており、わずかに“引き締め圧力”の存在も感じられる。
一方で、市場にとって最大の驚きとなったのが、日銀が保有するETF(上場投資信託)およびJ-REIT(不動産投資信託)の売却を開始する方針を示したことだ。ETFの売却は簿価ベースで年間約3,300億円、時価ベースでは約6,200億円規模となり、J-REITも少額ながら売却対象に含まれる。
なお、保有ETFの総額は簿価で約37兆円とされ、このペースで売却を続けると完了までに100年以上、場合によっては“112年かかる”との見通しが示されている。つまり売却スピードは非常にゆっくりで、短期的な市場混乱を避けるよう慎重に設計されている。
日経平均株価は、この発表を受けて一時800円超も急落しました。これはETF売却の決定が予想外だったためです。しかし、午後にかけては値をある程度戻し、終値では45,000円台をしっかり維持しました。
為替市場では、円が対ドルでやや強含む展開となり、発表直後には円高が進んだと報じられています。また、国債利回りも上昇し、投資家の間では「金利や通貨、そして資産売却の見通しが変わるかも」という警戒感が広がりました。
“45,000円台を維持した”ことの意味・推測されること
この「引けにかけて値を戻して45,000円台を維持」という動きには、いくつか推測できることがある:
- 買い支え・下支え意欲の存在
下落してもそこで売りが止まり、あるいは「割安」と感じた資金が流入したことを示す。機関投資家や個人投資家の中で、「今回の下落は買いどき」と判断したプレーヤーがいた可能性がある。 - 市場の“サプライズは織り込んだ”感覚
ETF売却決定や日銀会合の内容に最初は驚きがあったものの、時間が経つにつれ「予想の範囲内」「思ったほど急激ではない」と考える声が増え、後半には過度な売り圧力が落ち着いた。 - 45,000円台は心理・抵抗/支持ラインとして機能
この水準を割ると「大きな調整・心理的警戒水準」となるため、多くの投資家がこのラインを守ろうと動いた。45,000円台を維持できたことで、「今回の政策変更なら耐えられる」という市場の信認がまだ存在すると判断された可能性がある。 - 市場が金利・政策正常化への“漸進的”なステップを想定
ETF売却のペースは非常に緩やかで、利上げも見送られたことから、日銀が急激な引き締めに踏み切らないとのシナリオが市場に受け入れられ、不安のピークを越えさせた一因と考えられる。
耐性がありそうなセクター・銘柄の特徴
今回の日銀のETF売却開始・金利据え置きという環境の中で耐性がありそうな銘柄・セクターの特徴を考えてみます。
- 海外売上比率が高い
為替変動や円高の影響を受けにくく、輸出ベースの収益構造が安定している企業。 - 安定収益性がある
景気サイクルに左右されにくく、利益を確保しやすい業種。 - 技術力・ブランド力・製品差別化がある
価格競争に巻き込まれにくく、高い利益率を維持できる。 - 資本コストやキャッシュフローへの耐性がある
借入金利上昇や資金調達コストの変化に強く、安定したキャッシュフローを持つ企業。
比較的耐性があると考えられる銘柄・セクター
半導体・電子部品や素材分野の企業は、今回の政策変化の中でも比較的守られやすいと考えられます。
- 半導体・電子部品
東京エレクトロンやアドバンテストは、製造装置や検査装置を手がけ、海外売上比率が高いことが強み。AIや5Gなどの需要拡大も追い風になります。 - 素材・化学
信越化学工業やSUMCOはシリコンウエハーなどの高技術素材を扱い、世界シェアを背景に景気変動の影響を受けにくく、利益率を守りやすいです。 - 電子部品大手
村田製作所やTDKは、複数国に顧客や製造拠点を持つことで輸出ベースの収益構造が安定しており、為替や政策変化による影響は限定的です。
逆に、小型株や内需依存型でコスト構造が金利・為替で揺れやすいところは、今回の政策変化の中で不利を被る可能性が高いと考えます。
トレード銘柄|積立とスイングで分散運用
楽天証券|積み立て投資
- 2865 GXNDXカバコ
株 価: 1,113.0
数 量: +1口
合 計: 1口
SBI証券|スイングトレード
買い増し銘柄
- 7272 ヤマハ発動機 +1株(合計131株)
- 8593 三菱HCキャピタル +1株(合計198株)
売却銘柄
- なし
反省点|イベント前後の値動きで学んだリスク管理
日銀会合を意識してはいたものの、今日のような急落は予想外でした。日経平均は一時800円超下落したものの、引けにかけて値を戻し45,000円台を維持しました。高配当投資のポートフォリオは前日比プラスで推移したため、下落の影響は最小限で済んだのは幸いです。
一方で、単元未満株については日銀発表前に購入してしまい、高値で掴んでしまった点は反省です。また、日経平均採用銘柄ではない大盛工業も、朝イチに高値を付けた後下落し、日銀発表後にさらに値を下げました。しかしその後回復傾向を見せ、テーマ株の強さを感じられる展開でした。
全体としては、重要イベント前後の値動きや心理的抵抗ラインをもう少し慎重に見極める必要があると感じます。
2025年9月第3週の実現損益
2025年の9月の収支報告楽天証券
デイトレの合計収支(9月16日~9月19日):0円
9月の累計収支:+8,370円
SBI証券
スイングの合計収支(9月16日~9月19日):0円
9月の累計収支:0円
配当・分配金(楽天+SBI):0円
トータル収支:+8,370円
▶ 9月第2週 | 9月第1週
2025年の各月の収支報告
楽天証券での合計収支(1月~8月):-30,030円
SBI証券での合計収支(同期間):+53,144円
配当・分配金(楽天+SBI):+140,924円
トータル収支:+164,038円
▶ 8月の収支報告 | 7月の収支報告 | 6月の収支報告 | 5月の収支報告 | 4月の収支報告 | 3月の収支報告 | 2月の収支報告 | 1月の収支報告 | 2024年の収支報告