原油高と米長期金利の上昇で米国株が3日続落するなか、日本市場はどこまでその流れを引き継ぐのでしょうか。9月10日の日経平均は朝方に一時900円を超えて下落したものの、その後は大きく切り返し、最終的にはプラス圏で取引を終えました。前夜の米国市場だけを見ていると、そのまま弱い一日になりそうにも思えましたが、実際の相場は少し違った動きを見せています。
米国では中東情勢の緊迫化から原油価格が上昇し、米10年債利回りも4.8%台まで上昇しました。インフレへの警戒が再び意識される一方、日本市場では日銀の金融政策や翌日のメジャーSQも重なり、朝から方向感をつかみにくい展開となっています。それでも売り一巡後は買い戻しが入り、銀行や証券など金融株には資金が向かいました。米国市場の下落から日本市場の反発までをつなげて見ることで、この日の相場がなぜ大きく揺れたのかも見えやすくなるのではないでしょうか。
この記事では、米国市場から日本市場へつながった一日の流れに加え、楽天証券で行ったTDKのデイトレード、SBI証券で運用している高配当投資の動向、そしてメジャーSQを前に売買を見送った判断まで振り返っています。なお、本文に記載している各トレード銘柄の「銘柄名」には、その銘柄に関する過去の取引記録へ移動できる過去記事リンクを設定しています。これまでの売買経緯もあわせて確認しながら、その日の値動きだけで終わらせず、一緒に相場への理解を深め、これからの投資判断を少しずつアップデートしていければと思います。
2026年9月10日の市況|日経平均は一時900円超安から反発、米国市場は原油高と金利上昇で3日続落
主要指数(9月10日時点)
日経平均:65,270.95(+128.17)
TOPIX:4,054.58(+7.94)
NYダウ:52,380.66(-405.41)
NASDAQ:26,253.34(-168.07)
S&P500:7,636.36(-37.16)
米国市場(9月9日)
9日の米国市場は、NYダウ、NASDAQ、S&P500がそろって3日続落となりました。NYダウは前日比405.41ドル安の52,380.66ドル、NASDAQは168.07ポイント安の26,253.34ポイント、S&P500は37.16ポイント安の7,636.36ポイントで取引を終えています。中東情勢の緊迫化を背景とした原油高に加え、米長期金利の上昇も重なり、積極的に株を買いにくい一日だったのではないでしょうか。
この日の大きな材料となったのが原油です。米国とイランを巡る対立が激しさを増し、供給不安からWTI原油先物は1.09ドル上昇して1バレル97.14ドルとなり、7日続伸しました。原油価格の上昇が長引けば、企業コストやガソリン価格を通じて物価を押し上げ、落ち着きつつあるインフレを再び刺激する可能性があります。「原油高が続けば、FRBも簡単には動きにくいのではないか」といった警戒が、株式市場に広がったとみられます。
金利上昇も株価の重荷になりました。米10年債利回りは4.844%まで上昇。米財務省が10~20年物国債を最大60億ドル買い戻す方針を示したものの、一部で期待されていた規模には届かず、債券市場では売りが優勢となりました。安全資産である米国債から4.8%を超える利回りが得られる環境では、株式にもそれ以上のリターンが求められます。そこへ原油高によるインフレ懸念まで重なれば、投資家が慎重になるのも無理はなかったでしょう。
一方、指数が下落したからといって、すべての銘柄から資金が逃げたわけではありません。S&P500の主要セクターではエネルギーが唯一上昇し、原油高を追い風にしました。個別株では、新たなAIアシスタントを発表したMeta Platformsが6%を超えて上昇し、AMDも3%高となるなど、半導体株の一角にも買いが入りました。その一方でAlphabetは2.3%下落。市場全体が全面的なリスク回避に傾いたというよりも、投資家が材料のある銘柄を慎重に選別していた一日だったのではないでしょうか。
為替ではドル円がニューヨーク市場を153.56円で終え、前営業日から0.42円の円高となりました。米金利上昇を受けてドルが買われる場面はあったものの、ベッセント米財務長官による円安けん制発言も意識され、ドルの上値は限られました。また、VIX恐怖指数は16.46と前日から0.74ポイント上昇しています。株価は下落しましたが、VIXが極端な水準まで跳ね上がったわけではありません。警戒感はあったものの、パニック的な売りに傾いた状況ではなかったと言えそうです。
ここから市場の視線は、米国の物価指標へ移っていくでしょう。PPIに続いてCPIの発表も控えており、原油価格が上昇するなかでインフレがどこまで強まっているのかが焦点です。ロイター通信によると、金利先物市場では次回FOMCでの利上げを60%程度織り込む状況となっています。これまでなら「景気が強いか弱いか」が大きなテーマでしたが、原油高が加わったことで、再び「インフレを抑えられるのか」という問題が前面に出てきたのではないでしょうか。今後の米国市場を見るうえでも、原油価格と物価指標、そしてFRBの判断をあわせて確認していく必要がありそうです。
米国市場全体のまとめ
1.NYダウ、NASDAQ、S&P500がそろって3日続落となった一日だった。
2.中東情勢の緊迫化を背景にWTI原油先物が7日続伸し、インフレ再燃への警戒が強まった相場だった。
3.米10年債利回りが4.844%まで上昇し、株式の割高感が意識されやすい環境だった。
4.エネルギー株やMeta Platforms、AMDなど材料のある銘柄には資金が向かい、選別色の強い相場だった。
5.PPIに続くCPIと次回FOMCを前に、原油価格とインフレ、FRBの金融政策が注目される状況だった。
日本市場(9月10日)
10日の日本市場は、朝方の大幅安から大きく切り返す一日となりました。日経平均は一時900円を超えて下落したものの、終盤にかけてプラス圏へ浮上し、前日比128.17円高の65,270.95円で取引を終了。TOPIXも7.94ポイント高の4,054.58ポイントで大引けを迎えました。前夜の米国株安を受けた朝方の雰囲気から考えると、終値だけを見て「小幅高だった」と片付けるには少しもったいない一日だったのではないでしょうか。朝方の売りを吸収し、日経平均は3日ぶりの反発となりました。
朝から投資家を慎重にさせたのは、前夜の米国市場で強まった原油高と金利上昇への警戒です。中東情勢の緊迫化による供給不安から、WTI原油先物10月限は96.61ドルまで上昇。米10年債利回りも4.84%台と高い水準にありました。原油が上がればインフレへの不安が強まり、金利が高止まりすれば株式の割高感も意識されます。この二つが重なったことで、日本市場でも朝方はまずリスクを落としておこうという動きが出やすかったのでしょう。前夜のニューヨーク市場でドル円は153.59円で取引を終えており、これらの数値は日本時間の日中値ではなく、前夜の米国市場終了時点を基準としています。
ただ、売り一巡後は市場の表情も少し変わりました。米株価指数先物が時間外取引で底堅く推移したことも支えとなり、朝方に売られた銘柄の一角には買い戻しが入りました。その一方で、金利上昇が収益面で追い風になりやすい銀行や証券には買いが向かい、三菱UFJフィナンシャル・グループなど金融株が相対的に強い動きとなりました。アドバンテストやリクルートHD、パナソニックHDなどにも買いが入った一方、東京エレクトロン、フジクラ、任天堂などには売りが目立っています。市場全体を一方向に見るというより、「今の金利や原油の環境なら、どこに資金を置けるのか」を探すような銘柄選別が進んでいたのではないでしょうか。
国内では日銀の動きも無視できませんでした。増一行審議委員は、基調的な物価上昇率が2%にかなり近づいているとの認識を示したうえで、現在の金融環境は緩和的であり、引き続き政策金利を引き上げていく必要があるとの考えを示しました。さらに、インフレが加速した場合には急速な利上げを迫られるリスクにも言及しています。来週には日銀金融政策決定会合を控えているだけに、市場としても聞き流せる発言ではなかったでしょう。銀行株への資金流入には、海外金利だけでなく国内の金利上昇を意識した動きも加わっていたとみられます。
そして、もう一つ忘れてはいけないのが翌11日のメジャーSQです。9月限の株価指数先物・オプションの特別清算指数が算出される直前とあって、先物市場では積極的に一方向へポジションを傾けにくく、短期売買が中心になりやすい状況も指摘されていました。中東情勢、原油高、金利上昇、日銀の政策正常化、そしてSQ前の需給。これだけ材料が重なれば、投資家が慎重になるのも自然でしょう。それでも日経平均が一時900円を超える下落を跳ね返し、プラスで終えたことは、この日の日本市場を振り返るうえで最も印象的なポイントだったのではないでしょうか。
日本市場全体のまとめ
1.日経平均は一時900円を超えて下落したものの切り返し、3日ぶりの反発となった一日だった。
2.中東情勢を背景とした原油高と米長期金利の上昇が、朝方の日本株の重荷となった相場だった。
3.金利上昇を追い風に三菱UFJフィナンシャル・グループなど銀行・証券を中心とした金融株に資金が向かった一日だった。
4.増一行審議委員の発言を受け、来週の日銀金融政策決定会合と今後の利上げが意識された相場だった。
5.翌11日のメジャーSQを控え、先物・オプションの需給も意識されやすい状況だった。
トレード銘柄|TDKをデイトレード、SBI証券では売買を見送り
楽天証券|デイトレードと積み立て投資
特定口座
- 6762 TDK
株 価: 2,827.0円 → 2,829.5円
約定時間: 09:12:32 → 15:16:29
収 支: +250円
狙 い: 監視銘柄の中から選定。スイングで保有する予定ではあったものの、メジャーSQを控えた影響なのか大きな値動きが見られなかったため、明日以降にあらためてエントリーすることとし、一度売却しました。

SBI証券|スイングトレード
買い増し銘柄
- なし
売却銘柄
- なし
本日のポートフォリオ内の決算銘柄
- 2163 アルトナー
本日2Qの決算発表があり、上期経常は11%増益で着地となりました。ただ、売上営業利益率が前年同期より低下したことが原因なのか、売られる結果となってしまいました。高配当銘柄であることに加え、1/2の株式分割によって買いやすくなったため、さらに買い増しを行いたいと考えています。
8月末時点でのポートフォリオはこちらを参照してください。
反省点・総括|TDKは小幅利益で撤退、メジャーSQ前の単元未満株買い増しは見送り
昨日の米国市場が下落し、さらに明日にメジャーSQを控えるなか、日経平均は後場にかけてプラス圏へ切り返したものの、日中は軟調な動きが続いていました。スイングトレード目的で購入したTDKも方向感に乏しく、下値は2,800.0円付近で大きく崩れなかった一方、上方向にも大きく伸びることはありませんでした。そのため、今回はわずかな利益でいったん撤退しています。
単元未満株の買い増しについても、現在の値動きがメジャーSQを控えた影響なのか、それとも最近の円高傾向を織り込む動きなのか判断が難しい局面でした。どちらの影響が強いのか見極めにくい状況でもあったため、本日は単元未満株を購入せず、静観する一日としました。

