介護福祉士として働きながら、将来の生活資金や身体への負担に不安を感じたとき、貯金以外にどのような選択肢があるのでしょうか。銀行員の父と家業を支える母のもとで育ちながら、投資について学ぶ機会はなく、資産運用は縁遠いものでした。
介護現場で慢性的な腰痛に悩み、「老後2,000万円問題」をきっかけに将来のお金を考えるようになりました。転機となったのは、職場の同僚から聞いた投資信託の話です。2019年3月に証券口座を開設し、少額から運用を始めました。
さらに、個人投資家かぶ1000さんの著書との出会いが、個別株投資へ関心を広げるきっかけになりました。投資の知識がほとんどない状態から資産形成へ踏み出した経緯と、働き方やお金に対する考え方の変化を振り返ります。
介護福祉士の私が資産運用を考え始めるまで
私の父は銀行員で、母は家業を支えていました。しかし、銀行員の家庭だからといって、子どもの頃から金融や投資について教えられていたわけではありません。
家庭内で株式投資が話題になることはほとんどなく、両親から教えられたのは、働いて得たお金を無駄遣いせず、将来のために貯金することの大切さでした。
そのため、私のなかにも「お金は働いて稼ぎ、その一部をコツコツ貯金するもの」という価値観が自然と根付いていました。
もちろん、貯金は今でも大切だと思っています。ただ、当時の私にはお金を貯めるという発想はあっても、それを運用して増やすという選択肢はありませんでした。
学生時代も金融や投資に関心があったわけではなく、夢中になっていたのはゲーム制作です。将来はゲームを作る仕事に就きたいと考え、工業高校から工業大学へと進学しました。
しかし、その後に進んだのは、当初の進路とはまったく異なる介護の世界でした。
きっかけは、テレビで偶然見たヘルパーの仕事です。高齢者の生活を支える姿に興味を持ち、父親の紹介を通じて介護の職場に就くことになりました。
介護福祉士として働くようになり、利用者の生活を支える仕事にやりがいを感じる一方で、身体への負担や将来の生活について考える機会が増えていきました。
それまで無関係だと思っていた資産運用に関心を持つようになったのも、こうした介護職としての経験があったからです。
介護職として感じた身体への負担と将来のお金への不安
介護の仕事には、利用者や家族と直接関わり、日々の生活を支えるという大きなやりがいがあります。
一方で、介護現場には身体的・精神的な負担もあります。特に要介護度の高い利用者への移乗介助や身体介助では、腰や膝に負担がかかりやすく、私自身も仕事を続けるなかで慢性的な腰痛に悩むようになりました。
若いうちは多少の無理ができても、年齢を重ねてから同じように働けるとは限りません。
「この仕事をあと何年続けられるのだろうか」
そんな疑問を抱くようになると、身体の問題だけでなく、将来のお金についても不安を感じ始めました。
それまでは、毎月の給与から生活費を支払い、残ったお金を貯金することが、将来に備えるための当たり前の方法だと思っていました。
しかし、介護福祉士として働き続けられる期間には限りがあるかもしれません。働けなくなったあとも生活は続きますし、老後の資金についても考える必要があります。
そうしたなかで大きなきっかけとなったのが、世間で話題になっていた「老後2,000万円問題」でした。
老後に必要な金額は一人ひとりの生活環境によって異なりますが、当時の私にとって、このニュースは将来の生活資金を真剣に考えるきっかけになりました。
「このまま貯金だけを続けて、本当に大丈夫なのだろうか」
それまで疑問を持たなかった貯蓄中心の考え方を見直し、働いて得たお金を将来のために運用する方法にも目を向けるようになったのです。
投資初心者だった私が投資信託を知ったきっかけ
将来のお金について不安を感じるようになったとはいえ、すぐに株式投資を始めようと考えたわけではありません。
そもそも投資に関する知識がほとんどなく、何から調べればよいのかさえ分からない状態でした。
そんな私が投資を身近なものとして意識するようになったきっかけは、職場の同僚との何気ない会話です。
ある日の休憩中、同僚から「投資信託をやっている」という話を聞きました。
当時の私は、投資信託という言葉を聞いても、その仕組みを十分に理解していませんでした。
「投資信託って何?」
最初に浮かんだのは、本当に初歩的な疑問です。
父が銀行員だったとはいえ、家庭で資産運用について教わった経験はありません。理系の大学を卒業していても、金融商品の仕組みについては知らないことばかりでした。
それでも、将来の生活資金について悩んでいた時期だったため、同僚の話には強く関心を引かれました。
投資信託とはどのような商品なのか。銀行にお金を預ける場合とは何が違うのか。利益を得られる可能性がある一方で、どのようなリスクがあるのか。
そうした疑問を一つずつ調べるうちに、資産運用というものが少しずつ身近に感じられるようになりました。
そして2019年3月、証券口座を開設し、投資信託による資産運用を始めました。
最初から大きな金額を投資したわけではありません。知識も経験もほとんどなかったため、まずは少額からのスタートです。
それでも、実際にお金を投資すると、わずかな値動きが気になるようになります。評価額が増えれば嬉しくなり、反対に減れば、このまま保有していて大丈夫なのだろうかと不安になることもありました。
それまで銀行への貯金が中心だった私にとって、投資したお金の価値が変動すること自体が新しい経験でした。
こうして投資信託から始まった資産運用は、やがて自分で企業を選ぶ個別株投資への関心にもつながっていきます。
一冊の本との出会いから株式投資へ興味を持つ
投資信託を始めたものの、当時の私は個別株についてほとんど知識がありませんでした。
投資信託は用意された商品のなかから投資先を選べますが、個別株では購入する企業を自分で判断しなければなりません。
どの企業を選べばよいのか、株価が割安なのか割高なのか、そもそも何を基準に判断するのか。分からないことばかりで、個別株投資はまだ難しいものだと感じていました。
そんな頃、本屋で一冊の本に出会いました。
『貯金40万円が株式投資で4億円 元手を1000倍に増やしたボクの投資術』
個人投資家「かぶ1000」さんの著書です。
「貯金40万円が4億円」というタイトルは、株式投資についてほとんど知らなかった私にとって、とても印象的でした。
「いったい、どうすればそんなことができるのだろう」
その疑問から本を手に取り、読み始めることになりました。
もちろん、本を読んだからといって誰でも同じ成果を得られるわけではありません。私にとって重要だったのは、投資で大きな利益を得たという結果よりも、企業を調べ、その価値を考えながら投資先を選ぶという考え方に触れたことでした。
それまでの私は、株式投資とは株価が上がるか下がるかを予想するもの、という程度の認識しかありませんでした。
しかし、企業の事業や資産価値などを調べ、購入する理由を考えるという投資方法を知ったことで、株式投資への印象が変わっていきました。
また、著者自身の具体的な投資経験が紹介されていたことも、投資初心者だった私には大きな刺激になりました。
専門的な金融知識を持つ人だけの世界だと思っていた株式投資が、個人投資家の経験を通じて、少し身近に感じられるようになったのです。
「これなら、自分でも株式投資を始められるかもしれない」
そう考えるようになったことが、個別株投資への関心を強めるきっかけとなりました。
振り返ると、資産運用そのものを始めるきっかけは、介護職として感じていた将来への不安と、同僚から聞いた投資信託の話でした。
そして、そこからさらに一歩進み、自分で企業を選んで投資することに興味を持つきっかけとなったのが、この一冊だったのです。
貯金40万円が株式投資で4億円 元手を1000倍に増やしたボクの投資術 [ かぶ1000 ] 価格:1650円 |
介護福祉士の私が資産運用を始めて変わったこと
資産運用を始めたからといって、介護職として感じていた将来への不安がすぐになくなったわけではありません。
投資信託にも個別株にも元本保証はなく、投資した金額より資産価値が下がることがあります。利益が出ることばかりではなく、実際に投資を経験して初めて分かる難しさもあります。
それでも、資産運用を始めたことには大きな意味がありました。
それまでの私は、働いて給与を受け取り、その一部を貯金することが将来への備えだと考えていました。
しかし、投資信託を始めたことで、働いて得たお金の一部を運用し、時間をかけて資産形成を目指すという新しい選択肢を知りました。
もちろん、投資によって必ず資産が増えるわけではありませんし、介護職の給与や身体的な負担が変わるわけでもありません。
それでも、将来への不安に対して何もできないと考えるのではなく、自分で調べ、学び、行動するという意識を持てるようになりました。
また、資産運用を通じて、企業や経済の動向にも関心を持つようになりました。それまで身近ではなかった金融や投資の情報を調べることも、少しずつ日常の一部になっていきました。
投資信託から始まった資産運用は、その後、個別株への関心にも広がっていきます。
もちろん、投資初心者だった私が、その先ですべて順調に運用できたわけではありません。失敗や判断に迷う経験も重ねることになりますが、それも株式投資を学ぶ過程の一つだったと考えています。
まとめ|株式投資の第一歩は「知ること」から始まった
私が資産運用を始めた理由は、最初から株式投資で大きな利益を得たいと考えていたからではありません。
介護福祉士として働くなかで身体への負担を感じ、将来も同じように働き続けられるのかという不安を抱くようになったことが、資産運用を考える出発点でした。
さらに、老後の生活資金について考えるようになり、貯金以外にも将来に備える方法があるのではないかと関心を持ち始めました。
そんなとき、同僚から聞いた投資信託の話が、初めて資産運用に目を向けるきっかけとなりました。
そして2019年3月、少額から投資信託を始めることになります。
実際にお金を運用してみると、利益が出る喜びだけでなく、資産価値が下がる不安も経験しました。それでも、自分のお金を通じて金融商品の仕組みを学ぶことは、貯金しか知らなかった私にとって新鮮な経験でした。
さらに、かぶ1000さんの著書との出会いによって、企業を調べ、自分で投資先を選ぶ個別株投資にも興味を持つようになりました。
振り返ってみると、介護職としての将来不安、職場の同僚との会話、そして一冊の本との出会いが、現在につながる資産運用の出発点だったと感じています。
投資を始めたばかりの頃から、十分な知識や資金があったわけではありません。最初は分からないことばかりでしたが、一つずつ疑問を調べ、少額で経験を積むことで、少しずつ投資への理解を深めていきました。
もちろん、資産運用は誰にとっても最適な選択とは限りません。投資には損失のリスクがあり、生活資金や将来の計画を踏まえて慎重に判断する必要があります。
それでも、将来のお金に不安を感じたとき、貯金や投資について知識を得ることは、これからの生活を考えるうえで役立ちます。
私自身も、最初の一歩は「投資信託って何だろう」という小さな疑問でした。
その疑問から始まった資産運用が、やがて株式投資への挑戦につながっていったのです。


